コンテンツに引き込まれる「パララックス効果」。
「オリジナルの動画を配信したいけど、写真素材しかなくて…」なんて声を耳にします。ひと昔前のローカルテレビのCMでは、静止されたままの画面にナレーションだけが吹き込まれた味気ないものをよく目にしましたが、でも安心してください。写真画像があれば、それを元に編集をして流れや動きを付けることができ、さらにひと手間加えることで、動画のような演出を可能にする手法があるのです。それが、今後ますます注目を集めるであろう「パララックス効果」。写真の前景と背景を異なるスピードで別々に動かすことで、立体感や流れを出す技法で、これを使うと静止画ののっぺりとした平面的な紙面に立体的な奥行きが演出でき、ダイナミックなコンテンツにグレードアップできるのです。編集で一枚の写真から「パララックス効果」を用いた動画を制作してみましたので、ぜひ上部のリンクからご覧ください。
視聴者の負担が軽く、ファーストコンタクトとしても見てもらいやすい「ショート動画」において、「パララックス効果」は大きな効力を発揮します。短い動画の中にインパクトのあるギミック(ちょっとした仕掛け)により、視聴者の目を引き付けて印象に残りやすくするのです。写真の一部を切り取って動かすことで、物語性を持たせたりメッセージを盛り込んで伝えることができ、同時に視聴者は立体的に見えることで没入感を持ち、コンテンツに引き込まれやすくなります。例えば、人物の表情や動作を強調したり、商品を際立たせたり、その写真が持つ世界観をより一層イメージを膨らませる手助けとなったり。ほかにも、風景の美しさや人物の感動を感じさせたり、懐かしさや郷愁を誘ったりするなど、本来は動かない一枚の写真にリアリティや臨場感を与えることで、視聴者の感情に訴えかけることができるのです。
「写真」から「動画」へ、パララックの魔法。
では、どういった写真が「パララックス効果」を、引き立たせることができるのでしょう。
まず、「パララックス効果」に適した写真を選ぶには、前景と背景がはっきり分かれているものが、動かす部分が多くなるためおすすめです。自然で滑らかな動きになるよう編集時に工夫を凝らしますが、もしこれから撮影をされるという場合なら、カメラワークを考えて挑まれるといいでしょう。前節では、静止画素材しかない場合でも「ショート動画」をより効果的なコンテンツに変身させるアイデアとして紹介したパララックス効果ですが、従来のYouTube動画においても魅力的で印象的な動画に仕上げるために大きな仕事を果たしてくれます。物語性を用いて、相手にメッセージを伝える「ストーリーテリング」を用いた展開なら、この効果によって内容がさらに強化され、感情移入させることでイメージが伝わりやすくなることはもちろん、記憶の残るものへと進化させられるのです。視聴途中で離脱されてしまいがちな3分や4分程度の長さの動画でも、飽きて中断させずに見続けてもらえやすくもなります。さらに、BGMやナレーションを追加することで動画に「リズム」や「わかりやすさ」を付加し、雰囲気がガラリと変わったコンテンツに仕上げましょう。
ビジネスを加速させる視覚的戦略
「パララックス効果」同様に、写真素材だけでも編集効果を応用すれば、さらに表現の領域を広げることができます。2つめのサンプル動画を上部にアップしましたが、これも「モーショングラフィックス」を活用した応用版。商品写真しかなくても、専用ソフトとなるAfterEffectなどを使って手を加えていくと楽しい動画に大変身させることができるのです。経営を続けていると、広告・宣伝・販売促進、会社PRについて、なにかしら発信をされた経験があるのではないでしょうか。その際には、きっと写真素材もあったことと思います。写真さえあれば、売りたい商品やサービスを今風にアレンジして見せることができるのです。
ECサイトを運営しているあるお客様も、動画はまだ着手ができていないものの、当然、商品写真はたっぷりとお持ちとのお話。だったら、既存顧客だけがリピートで購入してくれる「待ち」のビジネスではなく、YouTuberやSNSでテンポのあるコンテンツを発信して、こちらからアプローチをしてみませんか?それも、予算が厳しいようでしたら手持ちの写真を活用して、コストを抑えて!とご提案。ポンポンと流れのあるコミカルな動画に、既存客の満足度アップ、新規顧客、見込み客の獲得に効果が期待されています。
以前、「アプローチ」を変えたことで、商品が完売したという話題を耳にしたことがあります。国産の材木を使用した、環境にもやさしい植木用プランターを売りに出したら売れずに苦戦。だったらと売り方を変更。自然素材なら安心して使わせられるから、「猫のトイレ」として打ち出すと見事に完売したそう。同じモノでも、異なる層の売る相手が振り向いてくれるように絞ったアイデアがヒットしたとのお話でした。今まで自社に感心のなかった方に対して、時代の流れに乗った手法「動画/ショート動画/SNS」も活用し、「パララックス効果」を使って商品やサービスの魅力を新たな消費者に伝えていきましょう。