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デザイナーが生み出す、競争力を高める動画制作

「テレビ番組やCMを制作している方と、話をしてきたんだけどさぁ」
いつものように、息を切らせなが帰ってきたボスゴリ。大須、栄、名駅、金山への移動は自転車だ。テレビ画面に映る、将棋棋士で投資家でもある桐谷さんには及ばないが、せっかくなら!と、時短と健康を兼ねて自転車をこぐ。機会があれば、業界を問わずいろんな方とお会いしたり、講演会にも顔を出して見聞を広げているのだ。
「やっぱり動画制作専門の会社は、動く額が大きいねぇ。ムービー用のカメラに、さまざまな種類のマイク、照明…と、機材も高額なら、関わるスタッフの数も多いんだそうだ。収録日には十数名になることもあるって言うんだから大所帯だよ」
「街中でテレビ収録をしているシーンに出くわしますけど、確かに人数は多いですよね。ロケバスも見かけたりしますもんね」
「月刊PR誌“ジャングルドア”の取材先でもよく聞くよ。“テレビの取材を受けたときには、お店にスタッフ全員が入れなかった!”なんて、何度も耳にしたことがある。そういえば、サプライヤーの会社案内をデザインしたときもそうだったなぁ。本格的動画チームも同行してさ、スタッフが多いから何台もの車で移動したんだ」
数年前までは、動画を撮るカメラマンと、スチール(写真)カメラマンは異なる職域であった。しかし、デジタル化の急速な進歩により、今では多くのスチールカメラマンが動画も撮れるようになってきているのだ。但し、その際に使用するのは、ムービー用ではなく一眼レフカメラ。こちらも高解像度、高画質といった具合に性能が向上し、遜色のない品質を実現している。もちろん、場合によってはスマホも活用する。
「でも、テレビを見ているとスマホやゴープロで撮影しているシーンも見かけたりしますよね?」
ローカル番組にやたら詳しいドレッサーが、週末に観たロケ番組でも、そんなシーンが映っていたと話す。
「すべての仕事に、たっぷり予算があるってわけでもないんだって。そういうときは、少数精鋭でスマホを駆使して撮影を行うそうだ」
ポケットからiPhoneを取り出し、カメラアプリを開いてみるボスゴリ。
「ボスゴリ!だったらうちもチャンスじゃないですか!
私、以前から思っていたことがあるんですよ。うちも、これだけの品質の動画がつくれるのなら、動画専門の制作会社とは差別化できますよね!だって、かなり低コストに抑えられるんですよ。固定観念で、動画をつくるのは高い!って思ってみえる企業さんも多いと思うんです。でも、駅に行っても、企業展にいっても、動画でピーアールする機会は多くなっていますよね。」
確かにそうだ。この前も依頼を受けた案件は、名古屋駅のデジタルサイネージ用の動画広告であった。制作した動画が、現場でどのように見えるのか現地に足を運んだが、手掛けた動画が何面もある画面に映し出されたときには、ちょったした感動を覚えたものである。iPhoneを手にしたボスゴリは、そのときに抑えた動画を観ているのだろう。広告のインパクトは大きい。
「それにですよ!うちはオペレーターではなく、“私みたいに、感性の研ぎ澄まされたデザイナー”が、動画を手掛けているじゃないですか。
パンフレットや会社案内みたいに、ストーリー性の高い実績も多いから、脚本的な流れだって得意ですし」
SNS用に制作したショート動画が、告知もせずに32,000再生されたこともあり、自分が如何に優れているかを強調するドレッサー。
「どうします、ボスゴリ。“今が攻めどき”ってヤツじゃないですか。いつも歌っていますよね、長渕剛の“やるなら今しかねぇ!”って。一度真剣に考えてみてくださいよ!じゃぁ、アッシはこのへんで」
決めゼリフとともに、調子にのってカラオケに消えるドレッサーであった。

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カスタムメイドの自社動画やるなら今しかねぇ!

改めて、ボスゴリは今まで手掛けてきた動画を調べてみることにした。毎月投稿されている4分ほどの作品は20本を越える。百貨店が広告主だった案件では、商品のつくり手にクローズアップした。津々浦々、現地まで足を伸ばして撮影をし、編集したインタビュー動画は10本近くある。他にも、住宅の魅力を紹介するルームツアーや、企業ロゴに動きを加えBGMも付けたサウンドロゴ。デジタルサイネージ、PowerPointの動画資料など、わずか2年間でも実績は増え続けている。強風の中でヒヤヒヤしたこともあるが、たびたびドローン撮影も行う。腕組みしたボスゴリは、天井を見上げ大きく息を吐く。目をつむると、自然と口笛が零れ出す。もちろん、長渕剛の“西新宿の親父”で“やるなら今しかねぇ!”だ。
「ドレッサー、ちょっといいか!」
朝一でボスゴリが声をかける。
「やるなら今しかねぇ!ですよね。私も昨日歌ってみました。“〜古いか新しいかなんて、まぬけな者たちの言い草だった、オレかオレじゃねぇかで〜”、ただ命がけでやりますか!」
ドレッサーの言葉に頼もしさを感じながらも、薄っぺらい発言に頭を掻きつつ、
「キミこの前、“ボスゴリの考え古いですよ”って言ってたよね。まぬけな者の言い草か?」
と、笑みを零しながら言い返す。
「そのへんは“出生払いでいいから、とっとと(次を)言え”ってことで…。で、何ですか?」
“西新宿の親父”をネタにした応戦が続く。
「生意気だな!動画の件だけど、そう、せかんすんじゃないよ」
「私、冗談抜きで、うちでもショートムービーくらいつくれるんじゃないか!って思うんです。とある社長が自叙伝を出版するとか、企業の記念式典でスライドショーを流すとかってありますよね。そういうニーズにも、動画はもってこい!ですよ」
しわがれ声に聞こえるのは、気のせいではなく昨晩のカラオケが原因であろう。
「それも良いアイデアじゃないか。動く記録として、後生にも残せるしなぁ。キミも、AfterEffectを使って、モーショングラフィックスも使えるようなってきたことだし。デザイナーがつくるってのはポイントが高いしな。スチールカメラマンも、動画撮影の腕が上がってきている。じゃあ早速、取引先には宣伝して、ホームページもリニューアルしてみるか!そこで、しっかり告知しよう。短い人生“やるなら今しかねぇ!”だ」
「そうこなっくっちゃ!それでこそ、“オレかオレじゃねぇ”かの“オレ”ですよ」
いつになくイニシャティブをとり続けるドレッサー。“今みたいに、どんなときでも上機嫌であってくれたらいいのに”と、言葉を飲み込んだのはボスゴリだ。
「せっかくならCMもつくっちゃいませんか?ボスゴリ、カメラの前でニコリ!って、笑顔つくれますよね。よく、社長自ら出演しているCMあるじゃなきですか。うちも、それをするんですよ。
“初めての動画なら、お値段以上ニコリ!”って」