Little boy with a flashlight

ビジネスに関わる全ての活動がマーケティング?

 マーケティングを学ぶために、さまざまな書物に目を通し、検定試験を受けるなどもしてきましたが、それぞれの解釈があり、難しい位置づけになってしまいがちにあります。簡単に説明をすると、マーケティングとは、「商品・サービスの生産者・製造業者」から「卸売業者(商社、卸売市場、卸問屋、仲介人など)」、さらに「小売業者(百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、専門店など)」を経て「消費者」へと流れ、「生産地点から消費地点に至る商品及びサービスの流れに携わる諸事業活動」を意味します。この4段階を取り巻くものが「市場、マーケット」。全体の流れを「流通」と呼びます。消費財以外にも、事業者などが使用する産業財(生産財)、学校や教育、病院での治療、宅配便や理美容などの無形財(サービス)などもあり、全てに市場が存在しています。

 常に変化を続ける市場環境に対応しながら、
1)製品・商品やサービス(Product)
2)価格(Price)
3)流通経路や物流(Place)
4)プロモーション(Promotion)

などを統合して、自らの存在価値を向上させていく活動を、マーケティング活動の4Pと言うのはご存知の方も多いことでしょう。

 日本マーケティング協会(JMA)が1990年に発表した「マーケティング」の定義では、「企業及び他の組織(教育・医療・行政など非営利組織も含む)がグローバルな視野(国内外の社会や文化・自然環境などの諸環境を重視)に立ち、顧客(消費者、取引先、関係機関、個人、地域住民など)との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動(リサーチ、製品・サービス、価格設定、プロモーション、流通、顧客や環境との関係などに関わる諸活動)である」としています。簡単に説明をする予定が、複雑になってきました…。ちなみに、アメリカマーケティング協会(AMA)が2007年に定義した内容は、「マーケティングとは、顧客やクライアント、パートナー、さらに広くは社会一般にとって価値のあるオファリングス(提供物)を創造・伝達・提供・交換するための活動とそれに関わる組織・機関、及び一連のプロセスのこと」だそうです。

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いいモノ・いいサービスを提供すれば売れる?

 前に何社か取材したことのある一宮市の繊維関連企業。みんなが口を揃えて言われていたのは、「昔は良かった」と。織機が「ガチャ」と音を立てれば1万円儲かる「ガチャマン」景気により地域全体が潤っていたそうです。経済の発展に対して供給するモノが少ない時代は、衣料だけにとどまらず、モノをつくれば売れるといった現象が起きていましたが、今の時代、そんな簡単にビジネスは運びません。「良いモノ・サービスさえ提供すれば売れる」という、近視眼的な企業の志向を「マーケティングマイオピア」と言われるように、好景気の経験が忘れられず、良いモノをつくっているのだから!と、新たな一歩が踏み出せない会社も多いのではないでしょうか。モノやサービスが溢れかえり、代わりとなる存在がひしめき合っている現代。激しい血みどろの争いを繰り広げる「レッドオーシャン」で、疲弊しているのはどこも同じだと思われます。

 勇気を持って、新たな市場を!と目指すなら、やっぱり「ブルーオーシャン」でしょう。他社と同じ土俵での競争を避け、新しいビジネスモデルによって展開する戦略です。アスクルやカーブス、QBハウスなど、大きく成功している企業もあります。消極的な買い手や、市場から距離を置く買い手など、従来の顧客以外(非顧客)にも目を向けるとヒントに。新たに決定した「コンセプト」を元に製品やサービスを開発し、細分化された顧客・対象に対して広告・販売促進などのプロモーション活動を行っていきましょう。

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4P戦略はもちろん、4C戦略も重要。

 マーケティングを進める中で4P戦略が存在価値の向上に欠かせないことは述べましたが、顧客・対象者側からの視点で考える「4C戦略」も忘れてはいけません。
1)顧客価値(Customer Value):顧客にとって「製品を購入することで、どんな価値を得られるのか」という視点で考えること。顧客の立場で、抱えている課題や満たしたい欲求をとらえ、それを解決・満たしてくれる製品・サービスを開発すること。
2)顧客コスト(Cost):金額面の負担だけでなく、その商品・サービスの購入にかかる時間や手間を含めた負担、心理的な負担を抑えること。
3)利便性(Convenience):どの経路であれば入手しやすいか。実店舗であれば営業時間やアクセスの良さ、Webであれば購入操作のしやすさ、決済方法の豊富さもポイント。
4)コミュニケーション(Communication):顧客の立場から見て「商品・サービスの情報や魅力が見つけやすくなっているか」という視点で構築。顧客に対して、営業マンによって対面で魅力を伝えるのか、自宅でじっくり手に取って見ることができるカタログをつくるのか、Webサイト内の文章やデザインはターゲットニーズに合致しているのかなどの工夫。

 売り手視点からのビジネス「プロダクトアウト」ではなく、顧客・対象者視点による「マーケットイン」をじっくりと考えて、ブルーオーシャンに飛び出してください。