Little boy with a flashlight

企画・表現の根本となる、アイデアは寝る⁉︎

 毎月何日もチームを組んで一緒に撮影に向かうカメラマン。そのスタジオに伺うと、玄関のドアに大きな張り紙が貼られていました。マジックでバシッと力強く書かれた文字は、「猛犬注意!」との緊張感を覚える警告が。コン・コン・コンとノックをし、ゆっくりとドアを開くと奥が見えないように衝立が置かれ、すぐに社長さんが出てみえました。外に促され、張り紙のことを尋ねると、新商品の撮影中とのこと。これなら普段からやってくる方も「ん?怖い!」と気軽に室内には足を踏み入れることはないとのグッドアイデアです。愛犬家の私は、逆に「猛犬って、どの犬種のわんちゃんがいるの?」と気になって奥に入ってしまいそうですが、社長さんがすぐに出てみえてほっとひと息。

 同じようなことがコピーライターさんが書かれた「伝わっているか?」にも紹介されていました。交通量の多い道路場にポイ捨てされた空き缶やタバコ、コンビニ弁当の容器、雑木林や森に不法投棄された粗大ゴミなどの社会問題をアイデアで解決!と。記載されていたのは、その場所に鳥居を立てたり、○月○日にこの場所で死亡事故が発生しました!とう立て看板を備えたりすると抑止力を発揮するとのアイデア。頑張って一度ゴミを集め、その場所をいつも手入れされた綺麗な花壇にすると、また、人はポイ捨て行為をしにくくなるともあります。ニューヨーク市が環境美化により犯罪が激減したことは有名な話ですが、それも人の心理を捉えたグッドアイデアですね。人の行動を変えさせることを目標に、アイデアを練ってみてください。アイデアが芽を出したらひとまず寝かし、翌日頭がリセットされた状態でチェック。それを繰り返していくとアイデア研ぎ澄まされ、制度も上がっていくことでしょう。

Little boy with a flashlight

しんみりとした小学生から笑顔を引き出すアイデアとは?

 息子が小学生の頃、お世話になっていた地域の軟式野球チーム。あまりの弱さに苛立ちがつのり、コーチとして指導者に加わることになったのですが、鬼コーチとして長年携わることになりました。試合があると一眼レフを持ち出し、カメラマンから受けたアドバイスを基にベンチから子供達を撮影。現像して各自に配るのですが、たまったデータの中からベストショットを選びだし、卒団式には壇上で6年生に「最後までよく頑張った!」と1人ずつプレゼントしていました。すると、A4サイズに引き伸ばし、フレームに納まった写真を受け取った子供たちが次々に笑い出すのです。その様子を見て、しんみりとしていた会場が「何?どうした?」という雰囲気となり、卒団生の笑顔が連鎖していきます。一枚の写真の力を知ることになったのですが、一体そこには何が映し出されていたと思われますか。

 対象となる相手は、小学6年生の男の子。うんこドリルがヒットしているように、「ツボ」を心得ると思わずくしゃくしゃの笑顔をこぼす純情な子供たちです。その手法とは、デザイン制作で使用するPhotoshopという画像編集ソフトを使い、子供たちの顔を変顔に加工したのです。たったそれだけのことですが効果はてきめん。自分の写真を見て笑うのはもちろん、友だち同士で見せ合って笑い、それを下級生や親が見て笑い…、笑いの輪は会場に広がっていったのです。もちろん、フレームを外せば、凜々しい姿でプレーする写真も忍ばせてあることは伝えてあります。「笑顔」が持つ効力に、改めて感心させられた思い出深い出来事です。

Little boy with a flashlight

満足することはもちろん、人は不安の解消のも行動を変える。

 望まれるビジネスのあり方を考えてみますと、「安い」「速い」「質が高い」のように、吉野家の牛丼ではないですが、安くて、速くて、美味い!がイメージできます。コンビニのように定価でありながらも支持されるビジネスは、「いつでも」はもちろん「この場所で」といった「地の利」がポイントとなってきます。では、人口の少ない山間部ではどうでしょうか。池井戸潤さん原作のドラマ「ハヤブサ消防団」を毎週楽しみに視聴していましたが、ハヤブサ地区のモデルとなったのは岐阜県の八百津町。ドラマでも言われていたように、地元の人にしてみれば何もない所となります。そんな所でガソリンスタンドを経営していたとしましょう。地元住民だけを対象にすると、その数は限られています。そこで、「アイデア」の登場です。仕事やドライブで山を越えないといけないシチュエーションだったとしましょう。山の麓が迫ってきたところに一軒のガソリンスタンドがポツンとあります。もし、ここに看板で「ここが最後のGS」と書かれていたらどうでしょう。風になびくのぼりには「ガス欠注意」の文字が。「ん〜、まだガソリンのメモリは半分くらいあるし…」と、頭の中にアテンションマークが浮かび上がりますが、小心者の私なら、万が一何かあった時のために、と「安心」を手に入れるためにウインカーを灯してスタンドインするのです。大寒波の到来により、タイヤがスタックして1日立ち往生なんてニュースも記憶に新しいこともあり、冬の時期には大きな効果を発揮することと思います。

 人でもビジネスでも、一長一短。全てとはいきませんが、短所を逆手に捉えてストロングポイントに転換させることもアイデアのなせる技です。このようにアイデアが活かせるようクリエイティブコンサルタントと、想いを届けるメッセージを組み立ててみませんか。